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Melted Green

Melted green soak into my heartMaybe I’m sleeping

 

10年前に出版した詩画集『Forest』からの一節。

生まれ故郷の三重県紀伊長島町(現・紀北町)には、町の主な産業が漁業だったことにも関係すると思うのですが、水にまつわる迷信や言い伝えが数多く残っています。その中の一つが「カッパ伝説」です。

漁師の家庭に生まれた新生児の男の子が、いたずらカッパを懲らしめた湊治郎左衛門の子孫と“親子の杯”を交わすことで生涯、海の危険から守られるというもの。江戸時代から400年以上も続く風習で、実は私も生後初めて迎える正月に、湊屋と“親子の杯”を交わしているようです。(湊屋の湊さんとはたまたま名字が同じ)

生家の近くには、カッパが住むという噂される池があり、その色は果てしなく深い緑で、自分の身体に染み込んでくるような錯覚に陥る事がありました。本シリーズ「Melted Green(溶け出した緑)」は、こうした幼少期の原体験や抽象的な感覚の具現化を試みたもので、版画作品とドローイング作品で構成されています。

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